ドリームマッチ2020を見て
以下ネタバレを含む。
数年ぶりに復活した同番組。
1ヶ月ちょっと前にいきなり宣伝されてから、ファン界隈ではこの日を心待ちにしていた人も多いのではないか。
個人的にはカップル成立後2時間で本番、じゃない方も参加の形が好きだったので、ネタ作り2週間とかロッシーしずちゃん山本馬場を排除したあたり、世間はよっぽどクオリティを重視してるんだろうな〜と。これ過剰になると演者のプレッシャーがヤバくなって苦しくなっちゃうんじゃないかと心配になる。
とはいえやはり、やはり面白いのだ。
以下、出順でネタを振り返りたい。
・大悟×澤部
「イレイザージャンゴ」
たぶん要所要所がアドリブで形成されていた漫才。でもネタ後にアドリブでしたみたいなくだりがなかったからあれも全部本だったのかな…。
千鳥とハライチのネタの型を組み合わせることでカット割りをバチっと受け手にわからせて、最後にカットを戻して無限ループへ持っていく仕組み。
千鳥のネタはやはり演者のポテンシャルにかなり左右されるので、普段千鳥が何気なくやっていることが面白いってことがどれだけ凄いかが分かるネタだったと思う。
ハライチもアドリブ漫才やってるけど、型が決まってるそれと何でもありのそれとではまた使う筋肉が変わってくるんだろうな。
面白かった。
・西村×伊達
「カッターズ飯山」
普段ネタを作らない人達が作ったネタ。
ある意味これがこの番組の真骨頂。
占い屋に来て占いを全くやらずに小ボケを羅列する仕組み。
「こっちが先」のフレーズを途中途中に挟んで軽くシステム化されていた。
最後にご本人登場という異例のオチ。
・せいや×小峠
「二重人格下着泥棒」
立ち位置で誰が誰かを分からせる霜降りせいやのキャラクターボケと、変な人にどんどん順応する小峠のツッコミのマリアージュ。
最終後半はボケツッコミ何でもありの大畳み掛けでフェードアウトの仕組み。
小峠はコントの中のキャラというより平場の彼を思わせる振る舞いで、コントなんだけど漫才みたいだった。
・秋山×ノブ
「写真撮影」
ノブの板付初めて見たな。
いつもの秋山のキャラクターにノブがツッコミで対応していく。
ネタの8割くらいは秋山が作ったんかな。
水ダウのネタリレーで秋山にバトンが渡った瞬間から質が異様に変わったやつがあったけど、(もちろん良い意味で)本当に秋山には秋山のネタしか作れないんだなというか、それだけ自分のことをわかった上でやりたいことを実現できる人なんだなって感動するばかり。
熱い×熱い、動×動って感じで熱量がすごかった。
・塙×長田
「自身の崩れざるフォーマットを築こう」
長田はマジでツッコミが上手い。
ボケを邪魔しないツッコミ、ここまでのコンビでまだ出てきていなかった。
フリップとモニターを2段使いするのも普通に意味わからんし、モニターの内容が更に意味わからん。
円グラフのパーセンテージ全部足したら100%超えてることとか、触れないボケを作ったりするのもすごい。
最後までフォーマットの核には触れず、オチは世にも奇妙な物語ふうな仕上がりで、残り物コンビとはいえ相当面白かった。1位では。
・富澤×土屋
「漫才」
イッテンモノでやってたっけ、と思ったけどナイツは違うのか。
とはいえ違和感が全くなかったコンビ。
一度後ろでネタを練習して本番もう一回やるとボケを全部間違える仕組み。
からのボケツッコミ入れ替えでちょこちょこ伏線拾いながら畳み掛ける仕組み。
特に後半すげえ面白かった。
あと土屋ってかなり下ネタ好きなんだろうな。
奥さんの目があるせいで平場でできない下ネタを漫才に乗せて発散しがち。
・岩井×直美
「塩の魔神と醤油の魔神ミュージカル歌ネタ」
岩井は天才。
スタジオで見たら運ばれてきた料理が何かがわからないのが惜しかったと思うけど、桁が違って面白い。
この番組が誰向けに作られているのかを考えさせられる瞬間だった。
誰にでもわかる笑いって本当に難しくて、あまりにも単純だとつまらないしギミックに凝りすぎてもわからない、単純さとシュールさを綺麗に取り入れていたこのコンビは優勝しても良かったと思う。
松尾×粗品
サーモグラフィーコント
松尾のボケがシンプルにむちゃくちゃ上手い。
ただまぁ、世論ではこれネタ2回やる意味あったんか?2回やるにしては長すぎんか?という意見が出ただろうな、世論知らんけど。
2回やるくらいなら1分のショートネタをサーモ・暗視・透視とかいろんなパターンで何回もやってその都度違う見え方するネタにもできるかもと感じたけど、何よりその先駆けの部分を多忙の中2週間で見つけて仕上げるというのは才能が凄すぎる。何食ったらこんなこと考えつくんですか。
・くっきー!×若林
「その子ガラス割っちゃダメ」
このネタについて、面白さをしっかり評価する、評価できる人間をゲスト席に座らせなきゃダメだよ。
番宣ゲストを起用しないと制作費が確保できない現代テレビ制作の現実を見せられているようで悲しくなった。
おもしろには金がかかるね。
・春日×山里
「カップル成立ありがとう漫才」
春日はブレーン若林のもとで若林を振り回す立ち位置をやらされていて、逆に山里は自身がブレーンになりながらしずちゃんに自分を振り回させる立ち位置になっている。
相性が良いかと思いきや意外と質が違っていて、想像よりトゲのないネタっぽく見えたね。
いじるのもいじられるのも難しい。上に立つのも下手に出るのも難しい。
誰も悪くないけどすこし、山里が悔しそうに見えた。
なんでこんな面白い番組が無くなったんだろうって思ってたけど、この番組相当制作費がかかるんだろうな。
タダで見られるチープな笑いに世の中が慣れすぎている。
良いものにはちゃんとお金払いたいね。