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二重生活を見て

以下本編のネタバレを含む。

 

 

キャストを見て気になっていた映画を見た。

あくまで個人的にはメチャクチャ刺さる作品であった。

内容としては、生きる意味や意義がわからずこれまでただフワフワと生きてきた女性が、自分と何の関係もない1人の男性を尾行し、その生活の一部始終から人間の生きる意味を導き出そうとする物語であった。

開始〜20分程度の物語–––近所に住む顔だけ知っている人を偶然外で見かけてその場の好奇心で後をつけてしまう–––の進行はとてつもなく魅力的で、「あるある!」と言っていいのか、犯罪行為に対する「ダメだけど気持ちはわかる」という感情をモロに描写したものであった。

 

わからないものを求めるあまりこれまで穏やかだった自分の人生が徐々に複雑なものに変わっていって、でも実際原因なんてほんの些細なことなんだけど。

「わからない」と泣く門脇麦ちゃんのシーンがこの物語の全てだったのではと思う。

加えてリリー・フランキーの存在の謎さ、彼は最終的におそらく死を選んだのかな?明確な描写はなかったが、それらに対して「永遠に知らない」と結論づけてしまう大オチもかなり良かった。

いやなんだかんだあって結局わからんのかい!となるが、なんだかんだあって結局わからないのだ生きる意味なんていうのは。

 

以上、感想終わり。

 

 

 

 

 

 

追伸、私がこの作品から読み取ったテーマとしては「自分の心の中に後ろめたさがあるならやらないほうがいいよね」というもの。

 

 

劇中で門脇麦ちゃんは菅田将暉に嘘をついてしまった。

男を尾行していることを隠して、友達と遊んでくると言ってしまった。

自分の行為に背徳感を持ったまま、愛する人の前でそれを正義として表に出すことができなかった。

今回に関しては結局愛する人の理解を得ることよりも生きる意味を求めることを優先しているような流れだったかもしれないが、それでもやはり自分の求めるもののせいでこれまで当たり前にあった穏やかな愛がフッと消えてしまう悲しみは何物にも変えがたいように見えた。

 

 

みんなそれぞれそれなりにフワフワと意味もなく生きているのに、その中にほんの些細なこだわりがあって、そのちょっとしたことのせいで上手くいかないことを嘆いたりする。

それは「嘘をつかれるのは嫌!」「時にはついてもいい嘘もあるだろ」とか、「浮気をされるのは嫌!」「これぐらい浮気にならないだろ」かもしれないし、

「洗濯物はこの畳み方じゃないと嫌!」かもしれなくて、

それらは良くも悪くも同じくらい重要なことで、同じくらいどうでもいいことなんだろうと思う。