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クロ現+性暴力編を一部見て

以下、倫理的に間違っている可能性がある内容を記述する。

 

しばらく前に「感動ポルノ」という言葉がこの世に生まれた。

身体に障害をもって生まれた人は–––ただ生きているだけなのに–––頑張って障害に立ち向かって一生懸命生きている姿が感動のダシに使われがちという観点から生まれた言葉だ。

 

 

 

NHKの番組であるクローズアップ現代+の性暴力特集がやっていて、かつて被害に遭われた女性の方やそういった方々をケアする立場にいる方などが様々議論を交わしていた。

番組内で、世論調査では男女2人でお酒を飲んだということは性交渉OKのサインと捉える人が1割以上、男女2人が個室に入ったということは性交渉OKのサインと捉える人が3割以上いることがわかっている(この割合の分母を男と限定する表現はなかったように思うが…)というふうな内容に対して、パネラーの方々が「そんなわけないだろう」と反論するという場面が見られた。

もちろんそんなわけないのだ。

もちろんそんなわけない、が、そんなわけある場合が絶対にないわけでもないのだ。

なぜそこに言及しないのかが私にはわからなかった。

 

世論調査の結果に対して被害者の方が「そんなわけない」と言うように、我々も「そんなわけない」ことくらいはわかっているし、被害者の方も我々が「そんなわけない」ことくらいわかっていることくらいわかっているだろう。

なのになぜ、そんな表面的な部分だけをさらってメディアにのせてしまうんだ。

生憎私は当番組を最後まで見ることができなかったので、その後どういった締めくくりを迎えたのかはわからない。

でも、わざわざ過去に辛い思いをした人が決死の思いでメディアに姿を晒して訴えかけるのに、そんな「性暴力、ダメ絶対!」程度の主張しかさせてもらえないというのはあんまりではないのか。

あるいは彼らは「性暴力、ダメ絶対!」と声をあげることで性暴力が少しでもなくなると本気で思っているのだろうか。

私にはもはや当番組が、性暴力被害者が性暴力の根絶に立ち向かう姿を感動のダシにした感動ポルノにさえ思えてしまった。

 

 

 

 

性暴力の被害に遭われた女性に非はひとつもない。

どんな理由であれ、強制性交は100%男が悪い。

それは本当にそう思うし、覆すことができない事実だと思う。

けど今回私は、それを上手く報道しきれなかったメディアを悪者にすることで、どうにか少しでも男の擁護をしようとしてしまったのかもしれない。