ピースオブケイクを見て
以下本編のネタバレを含む。
映画館で見たい映画だったな、と思った。
「愛がなんだ」じゃん、と思った。
違うところがあるとすればピースオブケイクの方がややドラマチックで、最終的にハッピーエンドだったというところか。
相変わらず、女性からモテた経験のない私には男に必死に恋する女の感覚というものは理解し難く、共感はできなかったが、良い映画であることに違いはなかった。
適当な植物を買っては枯らしてしまうという導入の伏線回収を大オチに持ってきた構成が非常に綺麗だった。
さて、
この映画は人から好きになられて始まる恋ばかりをしてきた女性が自分から好きになる恋をする、という話だろうか。
好きになった男には交際中の女性がいたが、それでも恋をしてしまう。
そして男と交際中の女性との関係が悪くなった頃に、寂しさを埋める相手としてヒロインと男との関係が始まる。
「どうせ最初は誰でもよかったんでしょう」そう言われても、気づいた頃には男にとってももうヒロインの存在なくしては生きていけないほど愛し合ってしまっていた。
劇中で一目惚れを「風が吹いた」や「歌ができた」と表現するのはなかなか詩的であった。
個人的にはこういうのって後々思い出すだけで、本当は後付けの記憶とか感覚なんじゃないかなと思う。
きっと誰と初めて会った時にも風は吹いていて、後々その相手がかけがえのないものとなった時、その風が特別なものだったと思い出す。
表現を変えれば誰しも最初は誰でもよくて、誰しも誰とでも恋に落ち得るということだと思う。
だからこそ、初めて会った時に吹いたあの風を覚えている人のことを、もっともっと大切にしなきゃね。
あたしンちの実写版があるなら、みかんの役は多部未華子ちゃんが適任だと思う。
それだけ彼女はリアリティがある。
ドラマチックなつくりばなしの中に人間味を生み出していたのは彼女の実力であろう。
いやはや良い映画であった。